「カタコト」の日本語で外国人は大丈夫なのか?…発音について
2023/02/16
こんにちは、イースト日本語センターの坂本です。
当センターではインドネシアやベトナム等の東南アジア諸国より技能実習生を受け入れております。ひらがな・カタカナの読み書きから日本語能力試験を見据えた学習まで、実習生ら各々のレベルに合わせて指導しております。
技能実習生は祖国で一定期間の日本語学習を行ってから来日しますので、日常生活に困らない程度の力を身に付けてくる人や、中にはすでに日本語能力試験のN4やN3に向けて独自の学習を行っている人までいます。
一方で、祖国の教育機関のレベルや実習生本人のやる気の問題もあり、簡単な受け答えもできない、ひらがなの読み書きすら怪しい…というような人も珍しくはありません。
(ましてや実習生以外となると、全く日本語を知らない状態で来日する人々も少なくはありません。)
もちろん、このような状態で日本の企業や個人事業主の元で就労することは非常に困難です。
このような日本語初心者に対して私が最優先しているのは「言葉」を覚えてもらうことです。
何よりもまず意思疎通ができるようになるために、これは何という名前でどう呼ぶのか、こういうときを何と言えばいいのか…もちろん日本での挨拶等も含め、ひとまず自分の伝えたいことを表現できるようになることを目指します。いわゆる「カタコト」でいいから身に付けてもらうだけでも大きく違ってきます。
では日常生活や仕事現場における簡単な会話なら「カタコト」では困らないのでしょうか?
私はそうは思いません。なぜなら、発音の違いにより言葉が伝わらなかったり、助詞や助動詞の使い方ひとつ違うだけで意味が変わったりするからです。
一つの例を挙げます。とあるベトナム人実習生がある日、こう言ってきました。
「せんせい、へやで、いっしょに、みずを、のみませんか?」
おお、上手に言葉を繋いで、お誘いをしてくれています。私は「なぜ水…?」とは思いましたが、軽い気持ちでOKを出しました。
そして後日、放課後に部屋に誘われてみると…そこには缶ビールがあったのです。
車通勤である私は、やむなく丁重に断って帰路につきました。
ベトナム人は日本語の発音に難がある傾向が強く、とくに音が濁ってしまうケースが多いです。この場合はおそらく「ビール」→「びず」という発音になってしまっており、彼が普段「みず」というときも「びず」と言ってしまうので、区別がつかなかったのです。
そういえばベトナム人の典型的な例として「よっか(四日)」を「ぞっか」、「ようか(八日)」を「ぞーか」と発音してしまうようなことは知っていたのですか、この時は不覚を取りました。
もちろん発音は一朝一夕で治るものではありません。日本人が英語等を学ぶ時も同様です。大切なのは、自分の日本語が未熟であり、いらぬ誤解を招きかねないことを自覚し、直すように努めることだと考えています。
(また未熟な日本語を聞く側も、発音のクセ等を把握することが大事です。私も外国人向け日本語教育をする立場として、そのことを頭に入れて日々実習生らと向き合っています。)
よって「カタコト」にとどまらない、日本人相手に問題なく通じる日本語を身に付けさせることを目指して、言葉だけでなく文法や発音と聴解(聞き取り)、さらには文面の読解能力も磨くことのできる教育を心がけております。
(蛇足:ベトナムには麦がないため、米を原料とした「ビール」が多く作られています。ベトナムで最も人気の缶ビールは「333(バーバーバー)」という商品で、この数字は幸運を呼ぶといわれているそうです。日本では米の「ビール」は普通売られていませんが、日本の高品質な缶ビールはベトナム人にも大人気です。ただし、ベトナムでは18歳以上から飲酒可能ですが、日本では20歳以上なので注意を要します。)
上記の通り、当センターでは技能実習生に向けた入国後一か月講習を行っております、また母体となる株式会社東は、インドネシア等からの特定技能外国人の登録支援も行っております。各種サポート内容に関しましては、ホームページの「業務内容」のページにございますので、ぜひご覧ください。
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